年の暮「タンガレンガ」の小倉っ子 夢走者
魚町句会の報告も、いよいよ最終回です。
今回はお昼13時からの開催で、これまでで最大の7名の方にご参加いただきました。
まずはいつも通り、天籟通信代表の福本弘明先生による俳句の講義からスタート。その後、参加者の皆さまに一句ずつ詠んでいただきました。
まずは、こちらの句をご鑑賞ください。
健さんが歩いていそうな小春かな 正太
大根洗う母の無言かな 夢走者
講義聞きさあ困ったな冬籠り つつみぐさ
初俳句さあどうなるや冬の街 ゆうこ
早足をとどめられない冬の風 柊風
ぽんと置くそれが間違い日短 キリコ
布団からなかなか出られず冬の朝 蜜柑
いかがでしょうか?これから吟行に出かけるワクワク感が伝わってくるような気がしませんか?
この後、雨上がりの街へ出発!建て替え工事中の旦過市場から、魚町銀天街の銀天街発祥の碑まで俳句の種になるようなものを探して、のんびりと散歩しました。
いつもと違う視点で街を見ると、本当に楽しいですね、参加者の方とおしゃべりをしながらあっという間に会場に帰ってきました。
それでは参加者の皆様の句をお楽しみください。初心者の方からベテランまでそれぞれの味わいが表現されていてとても素晴らしい作品ばかりとなりました。
旦過橋の師走人出が連れてくる キリコ
銀傘に飛び交ふ声や年の暮 正太
ハングルに英字に隠れ冬ざるる 柊風
せまき道活気あふれる冬うらら 蜜柑
雨あがり道光るなりたんが街 つづみぐさ
思い出と俳句に残す街の風景 ゆうこ
冬来るご当地小倉の台所 キリコ
人混みに買いそびれてる年用意 柊風
角打ちに入(い)るか帰るか息白し 正太
目の端に鮮度と値段冬めきぬ キリコ
年の暮 旦過のおもかげ あと半分 ゆうこ
あたたかいおでんの香りに誘われ 蜜柑
つわものが戻れり店に灯をともす つつみぐさ
いつの間に「テナント募集」隙間風 正太
ゴム長でふく呼ぶ河豚と名コンビ 夢走者
客待ちの丸椅子ふたつ年の暮 柊風
おでんの湯気にゆるむ 財布 ゆうこ
おでん煮ゆ箸割る音の潔し 夢走者
角うちの灯を消さざるごとく店の前 つつみぐさ
ピカピカと街がおめかしクリスマス 蜜柑
いかがでしたか?
まち歩きの様子が目に浮かぶようですね。師走の準備が進む街の風景や、移りゆく街並みへの感傷が、とてもよく伝わってきました。
それぞれの思い出の中に、この街が大切に存在しているのだと、改めて感じます。ただ開発するだけでも、無闇に保存するだけでもなく、街の人々と共に街が歳を重ねていくことが大切なのだと気づかされました。
またこのような機会を作り、まち歩きと俳句を楽しみたいと思っています。その際は、ぜひご参加くださいませ。
※2021年の旦過市場の写真です